森を出て首都に向かう道を、レオナとクロードは進む。

彼女は旅装姿でマントをはおり、フードで顔を隠している。

どこで彼女を知っているものに出会うか分からない。

まだ、リョウが首都に残っていてくれていればいいのだが・・・そういう思いが頭をよぎった。

彼女の肩に止まっているクロードは、目を閉じていた。

「レオナ・・・。」

突然声をかけられてレオナは視線をその鳥に移す。

眠っていたのでは、なかったのか。

「僕のこの呪いは・・・どうやったら解けるんだろう。」

彼女は目を細めてその鳥を見て、また視線を前に移した。

「ZEROを止める為に動き始めたっていうのに・・この姿じゃ、何も出来ない。」

彼にかけられた呪い・・・。

7年前、クロードは呪いにかかり、鳥の姿へと変わってしまった。

月が出る夜にだけ、元の姿に戻れるという呪い。

月の光を浴びて、契約の呪文を唱えれば、月が出ている夜にだけ、元の姿に戻れる・・・。

クロードの戦闘能力はかなりのものだ。

しかし、それは人間であった時の話。

鳥の姿のままでは、戦えない・・・。

それどころか、力も弱いため簡単に捕らえられてしまう。

このままでは・・・いけない。

 

レオナはクロードがその事で悩んでいるのは知ってる。

なんとかして元気付けてあげたい・・。

そう思ったが、同情の言葉は逆に彼を傷つけるだけだ。

暫く考えた結果、ある考えが浮かんだ。

これならばきっと、クロードにも出来るだろう。

「クロードに出来る事・・・あるわ。」

鳥は彼女の言葉に驚いて少女を見る。

しかし、彼女の口から出てきたのは余りにも慈悲のない言葉だった。

「もし、食料がなくなって、困ってたら、クロードが食料になってくれたらいいのよ。」

少女はそういって小さく微笑んだ。

「・・・・・・・・・・レオナ。」

「冗談よ。」

冗談には・・・・・聞こえない。

っていうか、あの目は半分以上本気だったんじゃぁ・・。

金色の鳥は大きすぎる程の、ため息をついた。

前途多難だ・・。

「クロード。」

「何?」

「ため息つくと幸せが逃げるのよ?」

・・・・・・・・・・。

大きなため息が、もう一回聞こえた。

 

レオナ・・・。

 

 

 

 

 

第十二章  〜追うものと追われるもの〜  Fin